「鳥さん」の認知症ブログ

 認知症を患う方との関りを深め、十数年・・・まとめていた記録を見える形で残そうと考え、唐突ですがブログを始めてみました・・・

 試行錯誤の記録ですが、まずは「気になった記録」、「思い出のある記録」から残してみようと思っています。

 何かの参考になるものではなく、私自身の十数年の振り返り、記憶の整理としてスタート致します。

№118 ご自宅での言動の変化に伴う認知機能のアセスメント視点  2022年3月25日(金)

 ご自宅での様子ですが、ご家族より「そちらでは髭は電気のを使ってるんですか?・・・だからかしら、いつも綺麗に剃ってあって・・・家では電気なんですけどたまにカバーしたままでやってる時があるんですけど・・・」との話を聞いています。以前よりカバーをしたまま髭剃りをおこなっていることは、カバーを外すことを忘れ、剃っていても髭がしっかり剃れていることまで気が付いていないと考えます。

 気が付かないことは、認知機能である注意障害の影響が強いと考えます。髭を剃る行為に注意が向き、剃れていることに注意が向かにことを表しており、配分的注意(二つのことを同時におこない注意を向けること)や転換的注意(本来注意を向けなければいけいことに注意が向かないこと=髭剃りは髭を剃ることに注意を向けることが目的)の影響と考えています。注意障害は認知機能の一つと考えたとき、認知症の中核症状にも変化が出ていることが考察できます。

 ティッシュペーパーの量が徐々に増加していることも、認知症の中核症状の変化が影響していると考えます。A様の行動は、同じ行動をすること(常同行動)が特徴と考え、行動の小さな変化は認知症の中核症状の変化のアセスメントに繋がるとも考えます。

 現状では、行動の大きな変化は見られていませんが、小さな変化は徐々に見られています。小さなの変化の積み重ねが大きな変化になっていくものであり、小さな変化へのアセスメントが状態の安定に繋がると考えています。ご家族との話を密にすることで、ご家族の不安だけでなくA様の不安も軽減できればと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方は、注意障害の影響から様々な日常生活上での問題に派生していると感じています。特に食事の場面で注意障害の症状が見られる事例も多く感じています。

「注意障害の理解を深めると、

             目の前の景色が変わったように感じます!」 

                                    私は特に実感しました・・・

№117 若年性認知症の方の状態変化のアセスメント視点      2022年3月22日(火)

 小さな変化として、日中の強い眠気の軽減、多動傾向の増加(室内を歩くこと、立ったり座ったりを繰り返す常同行動)、情動の動揺(腕を強く持つetcなどが小さな変化として見られています。

 変化の原因を考察すると、以前から夜間の睡眠障害の影響から生活リズムが乱れ、日中の眠気が強くなっていると考えアセスメントを進めています。9月に入り、以前のような鼾をかき、首を後ろに倒して寝てしまうような強い眠気が無くなっており、夜間の睡眠障害が軽減されていると考えています。また、睡眠障害が軽減されたことで、日中の眠気が少なくなったことで覚醒時間が増え、多動傾向にも繋がっていると考えます。

 1年前は、今よりもとても元気で多動傾向であったと考えますが、日中の眠気は殆ど見られていなかったと考えます。覚醒時間が増え、多動傾向になることは自律神経の交感神経が優位になっていると考え、周囲の刺激から情動が不安定になり他者の腕をつかむ、拒否が増える、表情が険しくなるなどに派生していると考えます。また、情動が不安定になる原因には認知機能も大きく影響しており、認知症の中核症状の変化から分からないことが増え、情動が不安定になっているとも考えています。

 デイサービスでは、ご家族の話などから夜間の睡眠障害やご自宅での様子のアセスメントを進めると共に、デイサービス利用時の認知症の中核症状の変化を行動観察からアセスメントを進め、行動の変化の真因のアセスメントを実施していきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方の状態変化のアセスメントは、”認知症の中核症状”と”環境因子”からアセスメントを進めますが、環境因子のアセスメントはご自宅での様子がとても重要と感じています。認知症状は、デイサービス利用時のアセスメントで良いのですが、環境因子はご自宅の情報がとても大切と感じています。

「デイサービスのアセスメントも大切ですが、

       ご自宅でのアセスメントがより大切と感じます!」

№116 認知症の変化に伴う様々な言動の変化のアセスメント    2022年3月19日(土)

 体重の経過観察ですが、7月⇒平均体重67.7kg8月⇒平均体重66.8kg9月⇒平均体重67.8kgと体重減少は止まっています。

 先月の報告書でも認知症の中核症状(失認・失行・失語症)などの影響から食事量が減少し体重減少に派生していると考察していますが、認知症の中核症状の影響は食事の場面だけでなく、バイタル測定時、排泄時など様々な場面で顕著に見られるようになっています。

 バイタル測定の際、マンシェントを腕に巻き付け、ゴム球で加圧をすると「痛いよ。痛い。もういいよ。私はいつも向こうでやっているから・・・・もうやめ!!」と焦燥感にも繋がっています。職員の説明への理解がなく(失語症状=言葉の理解ができないこと)血圧測定をしていることが理解できていません。また、血圧計を見ても何か理解ができない(失認)ため、腕が締まる不快感や痛みなどから不安が強くなり、適応規制から焦燥、拒否などの行動・心理症状に派生したと考えています。

 排泄支援では、鍵を閉めてしまい「出られない!!開かないよ!」と混乱が見られ、失行(身体は元気で動きますが、動作が上手くできないことや物を上手に使うことがでいないこと)や判断力の低下などによって、トイレの鍵が開けられないことに繋がっています。

 S様は、様々な生活の場面で認知症の中核症状の影響から不安、心配、混乱などから焦燥、拒否、強い口調などの行動・心理症状に派生していると考えます。

 支援で大切なことは、安心できる環境、安心できる関係性、安心できる声かけなど”安心”がとても大切であると考えます。

食事の場面による失行の事例①

「鳥さん」からの一言・・・

 バイタルサインなどの客観的情報は全てのことが繋がっており、アセスメントを進めていくと原因が同じことが多いと感じています。ご利用者様は絶妙なバランスを保ち生活を送っていることをバイタルサインから感じることが多いです・・・

 「小さな変化に気づく、とても重要ですね!」

№115 精神疾患もある認知症の方の睡眠障害のアセスメント    2022年3月16日(水)

 ご家族と相談しながら〇月から週3回(月・水・金曜日)の利用となっています。デイサービス利用時の様子として、眠気は1日を通して顕著に見られていますが、午後14時くらいから覚醒することが多いため、睡眠障害の影響による生活リズムの乱れが原因と考えます。

 睡眠障害とは、寝ようと布団に入ってもなかなか寝付けない”入眠障害”、トイレなどに起きてなかなか寝付けない”中途覚醒”、朝早く起きてしまう”早朝覚醒”、眠りが浅く睡眠の質が悪い”熟眠障害”に分けることができます。

 睡眠障害の原因を環境因子から考察すると、外部環境因子の物質的環境、内部環境因子の身体的不調・心理的苦痛が影響していると考えています。

 物質的環境因子とは、暑い、寒い、うるさいなど周囲の環境や薬物療法(薬の副作用)を示していますが、暑さから夜間が寝苦しくなることや台風などの風や雨の音がうるさく睡眠障害に繋がっていること、現状に薬があっていないなどが考えられます。

 内部環境因子の身体的不調では、慢性的な膝や身体の痛み、便秘、身体がだるいなどの倦怠感など様々な体調不良が原因の一つとも考えます。心理的苦痛では、不安や心配、嫌悪感など”こころの動き”から気持ちがザワザワし、睡眠障害に繋がっていることも考えます。

 現状でははっきりとした原因は不明ですが、無理をさせないことが一番と考え、意欲向上approach methodを徹底することで、こころ(心理的苦痛)と身体(身体的不調)に負担をかけない支援が大切と考えています。デイサービスが負担にならないことが、継続した利用、安定した状態に繋がるとも考えています。

 排泄機能の様子ですが、尿失禁・便失禁共に〇月に数回ほど見られています。失禁時の状態として、パンツを履いていないことはありませんが、布パンツを履いてるときに失禁が見られています。紙パンツを履いているときも紙パンツ内の失禁は顕著に見られており、失禁は1日を通して顕著に見られていると考えます。

 失禁の原因を考察すると、強い眠気が影響していると考えます。上記でも報告していますが、眠気は1日を通して強く見られており、強い眠気から便意・尿意が鈍くなり結果として失禁に繋がっていると考えています。

 トイレに行った際のアセスメントでは、便も尿も力んで出すことは可能であり、意識をして出せないことが失禁の原因ではないと考えています。失禁は皮膚の疾患、感染症(尿路感染、腎盂腎炎etc)など様々な疾患に繋がるリスクも高くなるため、失禁の軽減を進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 精神疾患もある方で薬の服用している種類や量も多く、疾患が認知症だけのご利用者様よりもアセスメントを取ることがとても複雑で難しいと感じています。疾患の無い方は、ほぼ環境因子からアセスメントが取れるため、疾患が複数あるご利用者様は支援も難しいと感じています・・・・

「介護従事者は疾患への理解が浅いため、

       医療の知識をつけることが必要と感じています!」

№114 排泄機能の変化から認知機能の変化の考察とアセスメント  2022年3月13日(日)

 排泄機能の様子ですが、9月に入り日中の尿失禁(ズボンを下ろしたと同時に出てしまう)は全く見られなくなっています。以前は、ズボンを下ろしたと同時に排尿が見られ、ズボンを汚してしまうことが多く見られていましたが、最近は全く見られず理由を考察しています。

 考察として、ご家族がズボン下を履かないよう排泄時の環境を整えたことで、ズボンが下ろしやすくなり排尿までの時間が短くなったことが一番の理由と考えています。また、認知症の中核症状の安定など認知機能が以前より安定していることも考えます。

 ズボンを下ろしてもすぐに排尿が見られないことは、尿意を早い段階から感じていると考えます。尿意が以前より早く感じる理由として、認知機能の注意障害(選択的注意=複数の中から必要な注意を選択できる、又は、配分的注意=2つのことを同時に配分しておこなうこと)が影響していると考えます。

 また、認知症の中核症状である失行(身体は元気ですが、動作や物を使うことができないこと)に変化が出ていると考えます。失行の変化は、ズボンを下ろす動作や身体の向きを変える動作など排泄時の動作がスムーズになったことを考察します。また、失認(視覚は悪くないですが、物の認識ができないこと)にも変化が見られ、トイレの認識が以前より早くできるようになったことで、排尿までの時間が短くなったと考察します。

「鳥さん」からの一言

 変化には必ず理由があると考え、様々な視点からアセスメントを取ることを繰り返してきました。認知症の方は、環境因子の影響、認知症状の変化から言動に変化しており、アセスメントを取ることが複雑であると感じています。その際に感じたことは・・・

 「一定したアセスメントを取る習慣が大事!」

                                           と学びました。 

№113 暴言、大声などのご利用者様への薬物療法のアセスメント  2022年3月10日(木)

 〇月日、リスペリドン錠が頓服で処方されており、使用方法のアセスメントを進めています。

 リスペリドン錠の服用に伴うデイサービスの視点として、服用タイミングの明確化、服用後の薬の効き状況とそれに伴う事故などのリスクのアセスメントが重要と考えています。

 服用タイミングの明確化の状況ですが、朝の送迎時の普段の会話(状態把握のための毎回同じ話題etc)から、その日の返答の仕方や声の大きさなどから状態把握を進めています。しかし、送迎時の車内では、職員と11のことが多いことや他利用者様が後ろの座席に座るなど環境からの刺激が少ないため、朝の送迎時の様子だけでは服用のタイミングは難しくなっています。

 施設到着後、他利用者様が順番に到着することで、徐々に外部環境因子(人的ストレス=他利用者様)の刺激が多くなることで、気分が高揚していることも明確となり状態把握が可能となっています。O様の暴言、大声などの行動・心理症状は、睡眠障害や外部環境因子(人的ストレス=他利用者様・職員)との関係性が大きく、様々なアセスメントから服用タイミングの明確化が必要と考えています。

 服用後の状態変化ですが、リスペリドン錠服用後、20分前後で表情が変わり、声の大きさも変わるなど薬の効果が見られています。服用後は、眠気が強くなり、職員の強い刺激で開眼するなど眠気が顕著に見られています。また、左側の動きも緩慢になり特に左足の動きの変化が顕著に見られています。初めて服用した日は、自宅に帰り床から立ち上がることが難しい状況も見られています。左足の上りが悪いなどの動作緩慢は次の日にも見られており、薬を服用すると2日間は薬の影響が残っていると考え、転倒などのリスクが高くなっているとも考えています。しかし、服用をすることで他利用者様と笑顔でコミュニケーションが取れるなど、集団の中でも穏やかに過ごしており社会性は向上していると考えています。

 現状では、服用のタイミング、服用後の状態変化のアセスメントを進めていますが、リスペリドン錠を服用することで「O様らしさ」は引き出されており、服用タイミングの明確化が進むことで状態は安定すると共に、ADLの低下の軽減にも繋がっていくと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 大声、暴言など周囲の方を威嚇する言動が多く、デイサービス利用時の関りがとても難しい方です。根は優しく、人柄が良い方ですが、認知症状や高齢者の心理から行動・心理症状に派生していると感じています。

「情動の安定による他者との関り、

               ADLの維持による自立した生活」

                                    難しいと悩んでいます・・・

№112  レビー小体型認知症の方のレクリエーションからのアセスメント 2022年3月7日(月)

 レクリエーションの様子ですが、8月下旬よりO様も含めた他利用者様からのニーズもあり、カラオケをレクリエーションで取り入れています。希望が叶ったことで気分が高揚していたこともあり、歌が上手な男性利用者様が来ると「ほら、Kさん、カラオケあるんだよ。今日、やるってさ」と声をかける姿が見られています。

 利用日には必ずカラオケの時間を作っていますが、月〇日の利用時は、普段は歌詞を間違えずに唄う歌でしたが、画面を見ながらも歌詞を間違えて唄う姿が23回見られています。この日の朝の送迎時にも話の内容はいつもと同じでしたが、声にやや張りがないような感じも見られており、カラオケのことも含め状態があまり良くなかったと考えます。

 カラオケは、O様の認知機能のアセスメントを進める際、記憶障害の語想起の低下(言葉を想起することの低下)や意味記憶(常識や知識の記憶)、文字を読む(失語症状)などの認知症の中核症状の変化の早期発見に繋がると考えています。デイサービスでのカラオケを習慣にすることで、認知症状の変化の早期発見に繋がると考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 レビー小体型認知症の診断で利用となっていますが、認知症状はとても軽度でデイサービス利用時からのアセスメントでは、認知症状の変化に気づきにくい方でした。また、嫌なことはおこなわないことから、普段と同じ支援から変化の早期発見に繋げる難しさも感じていました・・・

「小さな変化をどのように気づくか・・・

               アセスメントは奥が深いです!」

№111 常同行動が見られる方のご自宅での言動のアセスメント   2022年3月4日(金)

 ご自宅での様子ですが、ご家族より「そちらでは髭は電気のを使ってるんですか?・・・だからかしら、いつも綺麗に剃ってあって・・・家では電気なんですけどたまにカバーしたままでやってる時があるんですけど・・・」との話を聞いています。

 以前よりカバーをしたまま髭剃りをおこなっていることは、カバーを外すことを忘れ、剃っていても髭がしっかり剃れていることまで気が付いていないと考えます。

 気が付かないことは、認知機能である注意障害の影響が強いと考えます。髭を剃る行為に注意が向き、剃れていることに注意が向かにことを表しており、配分的注意(二つのことを同時におこない注意を向けること)や転換的注意(本来注意を向けなければいけいことに注意が向かないこと=髭剃りは髭を剃ることに注意を向けることが目的)の影響と考えています。

 注意障害は認知機能の一つと考えたとき、認知症の中核症状にも変化が出ていることが考察できます。ティッシュペーパーの量が徐々に増加していることも、認知症の中核症状の変化が影響していると考えます。Y様の行動は、同じ行動をすること(常同行動)が特徴と考え、行動の小さな変化は認知症の中核症状の変化のアセスメントに繋がるとも考えます。

「鳥さん」からの一言・・・

 自宅での言動にご家族は「なぜ?」と思うことが多くあると感じています。毎日、認知症の方と関わるなかで、「なぜ???」が多くなることは、介護にかかわる家族にはストレスにも繋がり、気持ちの余裕が無くなっていくとも感じています。

「ご家族の「なぜ?」に丁寧な説明ができることも、

            私たちの役割の一つと感じています。」

№110 若年性認知症の方の状態変化のアセスメントの考察     2022年3月1日(火)

 小さな変化として、日中の強い眠気の軽減、多動傾向の増加(室内を歩くこと、立ったり座ったりを繰り返す常同行動)、情動の動揺(腕を強く持つetcなどが小さな変化として見られています。

 変化の原因を考察すると、以前から夜間の睡眠障害の影響から生活リズムが乱れ、日中の眠気が強くなっていると考えアセスメントを進めています。9月に入り、以前のような鼾をかき、首を後ろに倒して寝てしまうような強い眠気が無くなっており、夜間の睡眠障害が軽減されていると考えています。また、睡眠障害が軽減されたことで、日中の眠気が少なくなったことで覚醒時間が増え、多動傾向にも繋がっていると考えます。1年前は、今よりもとても元気で多動傾向であったと考えますが、日中の眠気は殆ど見られていなかったと考えます。

 覚醒時間が増え、多動傾向になることは自律神経の交感神経が優位になっていると考え、周囲の刺激から情動が不安定になり他者の腕をつかむ、拒否が増える、表情が険しくなるなどに派生していると考えます。また、情動が不安定になる原因には認知機能も大きく影響しており、認知症の中核症状の変化から分からないことが増え、情動が不安定になっているとも考えています。

 デイサービスでは、ご家族の話などから夜間の睡眠障害やご自宅での様子のアセスメントを進めると共に、デイサービス利用時の認知症の中核症状の変化を行動観察からアセスメントを進め、行動の変化の真因のアセスメントを実施していきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 日頃から感じていますが、デイサービスよりも自宅での言動の変化が先に出ると感じています。自宅では昔からの習慣による自発的な行動が多くなることで、デイサービスより先に言動の変化も派生し、ご家族の困りごとも増えると感じています。

   「ご家族からの話、とても大切と感じています。」

№109 アルツハイマー型認知症の方の行動・心理症状のアセスメント 2022年2月26日(土)

 体重の経過観察ですが、7月⇒平均体重67.7kg8月⇒平均体重66.8kg9月⇒平均体重67.8kgと体重減少は止まっています。

 先月の報告書でも認知症の中核症状(失認・失行・失語症)などの影響から食事量が減少し体重減少に派生していると考察していますが、認知症の中核症状の影響は食事の場面だけでなく、バイタル測定時、排泄時など様々な場面で顕著に見られるようになっています。

 バイタル測定の際、マンシェントを腕に巻き付け、ゴム球で加圧をすると「痛いよ。痛い。もういいよ。私はいつも向こうでやっているから・・・・もうやめ!!」と焦燥感にも繋がっています。職員の説明への理解がなく(失語症状=言葉の理解ができないこと)血圧測定をしていることが理解できていません。また、血圧計を見ても何か理解ができない(失認)ため、腕が締まる不快感や痛みなどから不安が強くなり、適応規制から焦燥、拒否などの行動・心理症状に派生したと考えています。

 排泄支援では、鍵を閉めてしまい「出られない!!開かないよ!」と混乱が見られ、失行(身体は元気で動きますが、動作が上手くできないことや物を上手に使うことがでいないこと)や判断力の低下などによって、トイレの鍵が開けられないことに繋がっています。

 O様は、様々な生活の場面で認知症の中核症状の影響から不安、心配、混乱などから焦燥、拒否、強い口調などの行動・心理症状に派生していると考えます。

 支援で大切なことは、安心できる環境、安心できる関係性、安心できる声かけなど”安心”がとても大切であると考えます。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症状の変化から現状の理解力が低下し、様々な言動、行動・心理症状に派生しています。以前は、とても優しく、大らかな方で、「仏の〇〇さん」などと周囲には言われていた方でした。認知症の変化から”不安”や”心配”から心理的余裕が無くなっていることを感じています・・・

「安心をどのように伝えるか・・・

                   笑顔の力は無限です!」

№108 自宅での食事動作の変化から現状把握のアセスメント    2022年2月23日(水)

 先月の報告書では、排泄回数の変化、体重の変化が出ていることを報告していますが、ご自宅でも食事の環境で変化が出ている話を聞いています。 

 ご自宅の食事環境での変化として、ご家族が席に着かないと食事を始めないことが見られているようです。以前は「食べていいよ」と伝えると食事を食べ始めていましたが、最近は声をかけても食事に手を付けず、ご家族が席に着くと食べ始めているようです。デイサービスでは、他利用者様など複数の人が居るため、食事の変化に気が付くことが遅くなったと考えます。

 食事環境の変化は、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語、実行機能障害)である失行が影響していると考えます。失行とは、身体は元気に動かせますが動作が上手くできないことや道具(箸、挟み、リモコンetc)が上手に使えない状態であり、”食事の食べ方が分からない”や”箸の使い方が分からない”など分からないことで、S様は食事に手を付けないと考えています。

 分からない環境で困った際、どのように問題を解決できるかをS様は考え、人の食べる方法を見て真似て食べる方法を選択しています。(※残存機能の活用=残されている能力、又は、残されていると思われる能力)中核症状である失行の変化から考察すると、食事の食べ方で失行が見られていることは、その他の日常生活上でも失行から様々な行動の変化が出ていると考えます。

 食事は、人間が生きていく中でとても大切な行動であり、小さな頃からずっと繰り返しおこなってきた行動の一つであり、認知症が重度になっても残る行動(手続き記憶=身体が覚えている記憶)とも言えます。その行動の変化は心理的苦痛(内部環境因子)である、不安や心配が強くなり認知機能の低下に繋がっていると考察しています。

 心理的苦痛に繋がっている原因として、ショートステイなど環境の変化が上げられますが、現状でははっきりとした根拠にはならないと考えています。引き続き、ご家族からご自宅での様子を確認すると共に、デイサービスでの行動観察からのアセスメントも進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 とても長く利用している方で、状態が安定してた方でした。デイサービス利用時の客観的情報や主観的情報からも変化は殆ど見られず、ご自宅での言動の変化が先に見られていました。環境の変化から状態変化に繋がったと考えますが・・・・

 

 「多くのご利用者様は、

      ギリギリの状態で維持していると感じました・・・」

№107 サービス終了に伴う環境変化のアセスメント視点      2022年2月20日(日)

 8月から訪問介護の支援が終了したことや新しいデイサービス導入など生活の中の環境が大きく変化しています。

 認知症の方は新しい環境への適応能力が低く、環境の変化は状態の変化に派生するリスクが高くなります。状態変化の早期発見も含め行動観察、バイタルサインからセスメントを進めていますが、8月中旬ほどまでやや不安が強く「洋服の着替えは?・・・・」や「昨日、お偉いさんが来てここじゃないとこに移るって話があって、、、私も言えばよかったんですけど、、なかなか言えなくて、、夜は眠れなかったです。私は”ほうとく”を辞めたくないです。」などの発言などから日中の眠気が強く見られています。

 日中の眠気は、環境因子の影響(訪問介護終了・新たなデイサービス導入)から不安や心配などから夜間の睡眠が十分に確保されていないと考えます。睡眠障害は、T様の心配性の性格が大きく影響していると考え、デイサービスでは受容・傾聴対応を基本に意欲向上approach method(褒める、感謝の気持ちを伝える、尊敬の念を持ち接する etcを徹底することで状態の安定を図っていきます。

 8月に入り、平均体重が49㎏前後と先月より約1㎏減少しています。(7月 平均50)原因を考察していますが、環境因子の変化が大きく影響していると考えます。

 環境の変化として、訪問介護の終了により自室の食べ物の環境に変化が出ていると考えます。以前は、訪問介護員と一緒に買い物に出かけ、好きな物を買い食べていたと考えますが、サービスが終了となったことで間食も含め摂取量が全体的に減少していると考えます。体重減少の様子により環境の因子の影響であるか、その他の原因であるかのアセスメントが進むと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 とても優しい方でしたが、神経質で些細なことでも不安や心配が強くなり睡眠障害などに派生している方でした。私も何かあると”眠れなくなり”、”食べれなく”なるタイプでしたので、T様の気持ちが痛いほどわかりました・・・・

    「原因は、昔からの思考の癖!」

                           癖は治すのことは大変です・・・私は苦戦中・・・

№106 大脳皮質基底核変性症の方の薬物療法後のアセスメント   2022年2月17日(木)

 先月からショートステイが開始となり、88日からランドセン錠の追加など環境の変化が大きくなっており行動観察、バイタルサインからアセスメントを進めていますが、利用時の様子に少し変化が出ていると考えます。

 変化として、利用時に眠気が強く見られる日が増加しています。以前から眠気が強い日が見られていましたが、以前より頻度が増しておりショートステイが開始となった環境変化の影響もありますが、88日のランドセン錠の追加の影響が大きいと考察しています

 眠気の強い時の様子として、朝の送迎時、両足を揃え右に倒した状態で車椅子に座っており、体勢を整えるが足は右に傾斜しています。乗車後、初めは開眼していたが声掛けに発語不明瞭でボーっとしており、傾眠され時には頭が後ろに倒れている様子が見られています。施設に到着後も、表情覇気がなく顔色がやや不良であり、焦点が合わずボッーっとしています。覚醒はしておりソファーに移動するも立位困難、足も全く動かず二人介助で移乗し、座ると同時に傾眠されてしいます。

 昼食時、食席に着くが眠気が見られ認知が入らず様子観察で食事を進める。暫くすると開眼され食事を摂取していくが、2口食べては閉眼するを繰り返し強い眠気は継続して見られています。眠気に合わせゆっくり食事を進め、食事開始から35分頃から暫く閉眼していますが、開眼後から声をかけると途中から「まずい」等の発語が多く聞かれ、主食9割、副食7割ほど摂取して食事を終了しています。

 8月は今までに見られないほどの眠気が3日間ほど見られ、眠気も1日を通して見られています。眠気の真因は現状では不明ですが、デイサービス利用時のアセスメントを進めると共に、転倒や転落などの事故にも注意して支援を進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 薬の変更の際、どのように評価し、医療機関との連携に役立つかを考えました。私たち現場の人間にとって行動観察法はとても学びが深まることを知りました!

「特に認知症の方のアセスメントには、

               行動観察法が役に立ちました!」

№105 食事への嗜好の変化のアセスメント視点         2022年2月14日(月)

 ご家族から連絡帳に「自宅では好き嫌いが無くなっていますが、デイサービスではどうですか?」との話を聞いています。デイサービスでも食事量は安定しており、今年に入り主食=10割(平均)、副食=9割(平均)と自宅同様、食事量は安定しています。

 食事量の安定は昨年の10月くらいから徐々に見られていますが、食事量の安定は認知症の中核症状(主症状=記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語症、実行機能障害)である失認の影響が大きいと考えます。

 失認とは、目は悪くないですが見ている物の認識ができない症状であり、S様は食事の好き嫌いの識別ができていないと考えます。昨年の10月くらいから食事量が徐々に安定しており、昨年くらいから症状のサインは緩やかに見られていたと考えます。

 失認の症状は、物の認識ができないことから、食べ物ではないものを間違って食べてしまうこと(異食行為=輪ゴム、消しゴム、ビー玉、洗剤etc)や生もの(生肉、生魚、加工しないと食べられないものetc)を食べてしまう危険が高いサインでもあり、今まで大丈夫であったことへの注意も必要と考えます。デイサービスでも異食行為に繋がらないよう、見守りを強化するなど環境を整え支援を進めています。

「鳥さん」からの一言・・・

 元気な頃は好き嫌いが多かった方も、認知症状の変化から「最近、好き嫌いが無くなって!」と喜ぶご家族の話をよく聞いています。食事を偏りなく食べることは栄養管理上とても良いのですが、食べ物の認識がなくなることで味覚の変化にも繋がっていると感じています。

「最後まで食事を美味しく食べられる支援、

               とても大切だと感じています。」

                                 【※こころが満たされる条件の一つ】

№104 失語症状が強い若年性認知症の方の現状把握のアセスメント 2022年2月11日(金)

 デイサービス利用時の様子ですが、先月同様利用日によって活動量の動揺、気力の動揺は顕著に見られています。活動量が多い日には、室内でも多動傾向で立ったり、座ったりを繰り返すことが多く見られています。また、食事中も集中して摂取することが難しく、席を立ち移動をする行動から食事を一旦休憩するなど対応しています。多動傾向の日はT様の調子が良いと考えており、好きなように過ごすことがT様にとって一番「安心」、「楽しい」時間になると考え、脱抑制approach method、意欲向上approach methodを中心に支援しています。

 多動傾向の日は1日を通して元気であり、一過性の心理的な影響によるものは少ないと考えています。T様の認知症の中核症状である記憶障害や理解力・判断力などから、心理的苦痛(不安や心配、恐怖etc)を1日を通して継続する認知機能は現状ではないと考えています。

 持続的に不調である要因は、眠気、倦怠感、便秘など身体的不調(内部環境因子)などによる身体で体感できる違和感が影響していると考えます。現状では眠気による影響が多いと考えていますが、夜間の睡眠障害のアセスメントが現状の変化に繋がると考えています。

 排泄機能の様子ですが、以前からトイレのシニアサインのアセスメントを進めていましたが、はっきりとしたサインが見つからず継続してアセスメントを進めていましたが、824日の利用時、トイレのシニアサインと思われる行動が数回見られています。

 朝の到着時、玄関で職員の声かけに全く動かず、険しい表情が見られています。少しすると便臭が見られトイレ誘導をすると紙パンツ内に便失禁が見られています。また、日中帯でもリビングで動かなくなり、険しい表情後にズボンを汚すほどの尿失禁が見られています。シニアサインが直前のため現状では対応は難しいですが、アセスメントを重ねることでトイレのシニアサインが明確になると考えています。デイサービスでは、行動観察法によるトイレのシニアサインを明確のすることで、ご自宅での失禁の軽減を進めていきたいと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 若年性の認知症の方が緩やかに状態が変化し、認知症状が強く見られている方です。認知症状(中核症状)が強く見られることで今までの支援が合わなくなり、支援の修正のためのアセスメントを進めています。

「認知症の方の支援では、

          行動観察法がとても大切と感じています!」

№103 認知症状の変化から派生する体重減少のアセスメント    2022年2月8日(火)

 体重の様子ですが、7月の平均体重が67.7㎏となっていましたが、8月は平均体重が66.8㎏と約1㎏減少しています。今年に入ってからの体重の推移ですが、1月⇒69.1㎏、2月⇒68㎏、3月⇒68.3㎏、4月⇒67.5㎏、5月⇒68.2㎏、6月⇒67.8㎏と今年に入り約2㎏減少しています。

 O様の体重のピークは73㎏(平成26)となっていましたが、利用開始当初は65㎏(平成24)と現在よりも約2㎏程軽くなっています。

 O様の体重減少の原因を考察すると、認知症の中核症状(主症状=記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語、実行機能障害)である、失認、失行、失語症、実行機能障害が大きく影響していると考えます。

 失認とは、目は悪くないが物の認識ができない症状であり、食事の認識、食べ物の認識や識別ができないことが強く見られています。

 失行とは、身体は元気で動きますが動作が上手くできないことや物を上手に使うことが出来ない症状であり、箸の使い方が分からないことやご飯の食べ方が分からないなども強く見られています。

 失語症とは、言葉の理解、言葉を発する、字を書く、字を読むなどができない症状であり、職員が食事の説明をしますが、言葉の理解ができないことが多くなっています。

 実行機能障害とは、物事を順序だてて進める能力であり、食事を食べる手順や動作のことです。茶碗を持って箸で口に運び、箸でおかずを掴み、茶碗に入れごはんと一緒に食べるなどの一連の動作ですが、一口ごとに箸を置くなど顕著に見られています。

 上記の症状が重なることで1日の食事摂取量が減少し、体重減少の原因に繋がっていると考えています。

 デイサービスでの食事量に大きな変化は出ていませんが、1日の中の1食であり自宅での食事量が徐々に減少していると考えています。デイサービスでは、体重減少の経過観察を進めると共に、食事量の安定に繋がる専門支援である失語症approach method、脱抑制approach methodを徹底していきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 利用日に毎回測定してる、体温、血圧、脈拍、呼吸、SPO2、体重などの客観的情報はとても大切であると感じています。客観的情報のバイタルサインと認知症状などの主観的情報からアセスメントを進めることが正確なアセスメントに繋がると感じています

   「情報とは、不確実性を減ずるもの!」

                                      大切なことを学びました。

№102 利用初月の行動観察による認知症状のアセスメント②    2022年2月5日(土)

 具体的支援方法として、コミュニケーションの基本として意欲向上approach methodや失語症approach method脱抑制approach methodを活用します。環境に慣れないご利用者様とのコミュニケーションでは、距離感を大切にするためパーソナルゾーン(こころの縄張り=快不快の距離)を意識し緊張のない距離感からコミュニケーションを始めます。

 S様の場合、利用開始当初から自ら職員にタッチングをするなど、パーソナルゾーンは狭く(距離感は近い)、社交的な性格と考え温もりのコミュニケーション(非言語=タッチング)を積極的におこなってます。また、失語症状もあることから笑顔で「ありがとう」や「かっこいい」、「身体が大きい」、「優しい」など、褒める言葉や感謝の言葉を単語や短い文章で職員全員が意識的に伝えていきます。

 人は”必要とされている”、”褒められる”などを繰り返すことで、こころの欲求が上がり”こころが元気”になっていきます。”こころが元気”になると人は自然と自発性が増し、欲求階層も上がり、意欲が向上していきます。人は意欲が向上していくと、自己実現(自己選択・自己決定)へと行動していくため、自然と”身体も元気”になっていきます。コミュニケーションで専門支援を進めることで、日常生活を元気に暮らせる基礎の構築に繋げたいと考えています。

 デイサービスでは、5つの専門支援を丁寧に進めることで、デイサービスが「安心できる場所」、「好きな場所」、「楽しい場所」になれるよう支援していきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 人と人との関係性を築く方法の一つがコミュニケーションであり、コミュニケーションは技術であることにも学び体験できました。学ぶことで多くの方はコミュニケーション技術が向上できると感じています・・・

 「私も苦手でしたが、

            繰り返すことで変わってきました!」

№101 利用初月の行動観察による認知症状のアセスメント①    2022年2月2日(水)

〇月日から利用開始となっています。利用時の行動観察から認知機能のアセスメントを進めていますが、認知症の中核症状(主症状=記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語、実行機能障害)は顕著に見られており、環境因子(外部環境因子・内部環境因子)の影響などから認知機能の一時的な低下や動揺も顕著に見られていると考えます。

 認知症状のアセスメントとして、記憶障害(忘れてしまう事)では記憶の逆行性喪失(記憶の逆行=古い記憶が鮮明なること)により即時記憶や近日記憶は殆ど見られていないと考えますが、長期記憶(昔の記憶=古い記憶)は仕事など特定の記憶が斑状に残っていると考えます。長期記憶(昔の記憶)の中でも意味記憶(一般常識や学校で学んだことなどの知識 etcや手続き記憶(身体が覚えている記憶)は比較的長く保持されていると言われていますが、その中でも残されている記憶はかなり限られ、抽象的な記憶(ボヤっとした記憶)と考えています。

 見当識障害場所・時間・人物の見当がつかないこと)では、場所(自宅の場所、トイレの場所、寝室の場所etc時間(日付、曜日、時間、朝・夕etc人物(夫、子供、近所の人etcの見当は、情動(短い時間での感情の起伏)が安定している状態であれば理解をしていると考えます。職員が自宅に行くとお客様との認識からソファーに先に座るよう進めることや玄関に行き職員の靴を揃える行動なども見られています。(自宅=場所の見当識は良好)また、ご家族への言動が厳しい時が多いことから、ご家族の顔は情動が安定している時などはしっかりと分かっていると考えます。(家族の顔=人物の見当識は良好)他者にはとても優しい一面がありますが、記憶障害などから考察すると人物の認識はあまりできていないと考えます。S様は社交的な性格もあり、元気な時から他者には常に紳士的に関わっていたと考え、今までの人生で染み付いた習慣が出ていると考えます。(バックブランドによる人格形成=手続き記憶)

 失認(目は悪くないですが物などの認識ができないこと)・失行(身体は元気ですが物を使うことや動作が上手くできないこと)では、日常生活の中で洗面、お風呂、トイレ、食事など生活に密接しているものはADL =日常生活動作)、情動が安定していることで維持されていると考えます。しかし、疲労感、眠気など環境因子の影響から認知機能が一時的に低下することで失認・失行の症状は強く見られると考えています。

 失語症状言葉の理解、発語、文字を読む、文字を書く)では、発話量はとても多いですが、不明瞭なため聞き取りずらいことが多く見られています。言葉の理解は難しいこと以外はある程度理解していると考え、S様は、言葉を思い出し(想起)話す(発語)障害の方が強いと考えています。失語症状も同様ですが、認知機能の動揺によって失語症状も大きく変化しています。

 実行機能障害(物事を順序だてて進める能力)では、日常生活、動作全般で顕著に見られています。認知機能の理解を深め、S様の自尊心を傷つけないなど、どのような支援が自己実現(自己選択・自己決定)に繋がっていくかを十分に考え支援することが「S様らしさ」に繋がっていくと考えます。

 認知症状のアセスメントからS様の支援方法は、認知機能の一時的な低下から派生する症状に合わせた支援がポイントと考えます。特に焦燥、易怒、暴言、徘徊などの行動・心理症状に派生してしまった際、意欲向上approach method、失語症approach method、手続き記憶approach method、注意障害approach method、脱抑制approach method、の5つの専門支援方法の活用が有効と考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 とても優しく紳士的な方でしたが、失語症状など中核症状が顕著に見られ意思の疎通なども難しかったことを覚えています。また、利用日によって状態の動揺も顕著に見られ日々試行錯誤して支援をおこなっていました・・・

 「改めて、アセスメントの重要性を感じています!」

№100 初めてデイサービスを利用するご利用者様のアセスメント  2022年1月30日(日)

 利用開始から約1ヶ月が過ぎていますが、行動観察、バイタルサインなどからアセスメントを進めていますが、利用時から大きな変化は見られていませんが、小さな変化が少し見られています。

 小さな変化として、朝の送迎時など自宅の玄関の内鍵が開けられない日が数日見られています。

 利用開始当初は、迷いながらも上と下の鍵を理解しながら開けている様子が見られましたが、7月中旬には「すみませんが、外から開けてください」や「すみません、鍵が・・・開けられんのですよ。そっちから開けてもらえます?」などの発言が、ほぼ毎回聞かれるようになっています

 以前から見られていたことも考えますが、最近の頻度から考察すると認知症の中核症状(主症状=記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語、実行機能障害⇒判断力・理解力・注意力の低下)に変化が出ていると考えます。

 鍵を開けることができない症状は、中核症状の失行(身体は元気ですが、物が上手に使えない、又は、動作が上手くできないこと)による影響も考えますが、鍵の開け閉めする動作は可能であり、上下の開閉の順序が分からなくなり理解力・判断力の低下などの影響が強いと考えています。また、焦りなどの心理的苦痛(内部環境因子)から、一時的に認知機能が低下していることも理解力・判断力の低下を強くしていると考えます。認知症の中核症状の小さな変化は、自宅での行動の変化にも派生していると考え、ご家族の介護負担が増加していることも考えています。

 デイサービスでは、利用時の行動観察法から支援方法の確立(脱抑制approach method、意欲向上approach method、注意障害approach methodによる自宅での行動変化への対策と予防を進めていきます。

 

MENFIS 評価 】

 日から利用開始伴う認知症状の状態をアセスメントする為、行動観察法(精神障害評価スケール=MENFIS)を7日間実施しており結果をご報告致します。

認知症状の変化を客観的データを基にアセスメントし、早期の支援方法の構築に繋げております。

※棒グラフが長いと障害は重くなります。

 

①認知機能障害・・・・・ 記憶障害、見当識障害、判断力の障害で中

             等度の障害が見られています。

②動機づけ機能障害・・・ 自発性の障害、興味・関心の障害で軽度か

                        ら中等度の障害が見られています。

③感情機能障害・・・・・ 障害は見られていません。

 

 

 MENFISの評価として、認知機能障害では、記憶障害、見当識障害、判断力の障害が見られており、日常生活でも記憶障害や判断力の障害などから様々な問題が見られている評価となっています

 動機付け機能障害でも自発性の障害が中等度見られており、やや自発性は低下している評価となっていますが、

 感情機能障害での障害が見られていないことから、意欲の低下など心理面の低下は殆ど見られていない評価となっています。

「鳥さん」からの一言・・・

 初めてご利用する方が来る際、毎回とても緊張しています。どのような言動に派生するかなど想像ができないため、支援が終わると「ホッと」しています。私だけでく・・・

「ご利用者様もホッとしていると感じています・・・」

№99 大脳皮質基底核変性症の方の状態変化のアセスメント    2022年1月27日(木)

 〇月は行動観察、バイタルサインなどからも妄想や混乱などの行動・心理症状も軽減され、認知症の中核症状の一つである失語症も安定していましたが、月は利用日によって状態の動揺が多く見られています。

 行動・心理症状(妄想、拒否、焦燥etcが顕著に見られる日は、朝から状態が悪く失語症も顕著に見られ、立位などのADL (日常生活動作=歩行、排泄、食事、入浴etcの状態も不安定になっています。

 特に食事摂取量の変動は認知機能とADL の状態把握のサインと考え、食事量が減少している時は一時的に認知機能が低下している状態であり注意が必要と考えています。食事支援は、とても複雑な動作が多く認知機能を活用しなければ食事を食べることができません。食事支援の状態が現状の認知機能の確認となり、その後の支援方法の方針の修正などのアセスメントに繋がります。

 現状では、T様の状態変化の原因は不明ですが、その日、その時間の状態に合わせた支援が状態の安定だけでなく、安全にも繋がっていくと考えています。

 デイサービスでは、PLA method(意欲向上approach method、注意障害approach method、手続き記憶approach methodを活用することで状態の安定、行動・心理症状の軽減、身体の内部環境を整える基礎的支援を進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 初めての疾患(大脳皮質基底核変性症)による認知症状であり、心理症状(精神症状)の日内変動が顕著に見られるなど状態の把握、アセスメントがとても難しかったことを覚えています。また、ADLの低下も急激に進み身体介護も増え、心理症状と重なることでより難しかったと感じました。

       「薬の調整が入ってくると、

          より難しかったことを思い出します・・・」

№98 暴言、大声、性的行為など行動・心理症状への薬物療法   2022年1月24日(月)

〇月日の受診後からバルプロ酸ナトリウム錠が増量されており、MENFISによるアセスメントを進めています。〇月〇日よりスクリーニングテストを実施しており、〇月には結果をご報告致します。

 現状の様子ですが、バルプロ酸ナトリウム錠が増量されたことで、夜間の睡眠障害が軽減されていると考えます。以前は、日中の眠気がとても強い日、眠気がない日など利用日によって眠気が動揺していましたが、バルプロ酸ナトリウム錠が夕食後に増量されてことで、夜間の睡眠障害(入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒)が軽減されていると考えます。夜間の睡眠障害が軽減されたことで睡眠の質が向上し、日中の眠気が減少したことで眠気の動揺も少なくなっており、内部環境因子の身体的不調(強い眠気)が整ってきています。

 内部環境因子(身体的不調)が整うことで、S様らしさが顕著に見られ、デイサービスでの行動・心理症状(暴言、大声etc)はやや増加しています。しかし、眠気による状態の不安定さが無くなったことで、薬物療法のアセスメントはしやすくなったと考えています。

 現状では、行動・心理症状の増加は顕著に見られており、薬物療法の微調整は必要と考えますが、デイサービスでは環境因子を整え、PLA method脱抑制approach method、注意障害approach method)を活用することで状態の安定、行動・心理症状の軽減を図っていきます。

PLA method 

Personlife Assessment methodPersonlife Approach method

 3項目を基に支援方法を抽出し、短時間でより良い支援に繋げるアセスメント方法です。 統一されたメソッドを使用する事で、早期の支援方法の構築、環境の変化による初期の行動・心理症状の軽減など、介護者のエンパワメントにも繋げるメソッドとなっています。

「鳥さん」からの一言・・・

 前回の事例同様、お薬の調整を進めている方でした。しかし、ADLとのバランス、ご家族の想いなどから、とても調整に時間がかかっていたことを思います・・・行動・心理症状から他のご利用者様に我慢をして頂いたことも・・・

「何が正しいことであるか、とても悩みました・・・」

№97 レビー小体型認知症の方の薬物療法後のアセスメント    2022年1月21日(金)

 ミニール錠中止に伴う認知機能の変化、言動の変化などを行動観察法からアセスメントを進めていますが、上記のMENFIS(精神機能障害評価スケール=行動観察法)の評価からも大きな変化は見られていません。現状では、レミニール錠中止に伴う影響は見られていませんが、引き続き、デイサービスでの行動観察からアセスメントを進めていきます。

MENFIS 評価 】

 日からレミニール錠中止に伴う認知症状の状態をアセスメントする為、行動観察法(精神障害評価スケール=MENFIS)を7日間実施しております。利用開始当初のデータと比較して結果をご報告致します。

認知症状の変化を客観的データを基にアセスメントし、早期の支援方法の構築に繋げております。

※棒グラフが長いと障害は重くなります。

①認知機能障害・・・・・ 大きな変化は見られていません。

②動機づけ機能障害・・・ 大きな変化は見られていません。

③感情機能障害・・・・・ 大きな変化は見られていません。

 MENFISの評価として、レミニール錠中止による行動の変化のアセスメントを進めていましたが。認知機能障害、動機付け機能障害、感情機能障害の3項目に大きな変化は見られていません。レミニール錠中止に伴う影響は見られていない評価となっています。

利用報告 = 注意が必要と思われる状態変化 etc

 学習療法の様子ですが、職員の声かけにやや表情が硬くなることは見られ、7月下旬になると断ることはないですが嫌な表情が見られており、ストレスが強くかからない頻度で学習療法を実施しています。

 学習療法は書く、読む、計算、図形など様々な取り組みがありますが、O様は机に向かって書く療法は特に嫌な表情が見られています。O様自身も苦手であることは理解しており、表情がより硬くなると考えています。

 実施状況では、構成失行などの確認も含めパズルクイズは理解しやすいモノは手際よく実施できており、構成失行(図などの構成、文字の構成etc「認知症の中核症状=失行」)は特に問題ないと考えています。

しかし、文字を書く療法になると職員が進めても書くことがなく、O様からも「字は・・・いいよ」との発言が聞かれています。

 O様の失語症状(認知症の中核症状の一つ)の特徴として、文字を想起し書くことが特に苦手であり、O様の認知症は、記憶障害(記憶の想起)と失語症(文字を書く)が一番の症状であると考えます。

 

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方は、脳の疾患から認知症の中核薬や症状によっては抑制薬(向精神薬etc)を服用することが多々あると感じています。私たち介護従事者も、ご利用者様がどのような薬を服用しているかなど薬への興味・関心を持つことが大切と感じています。

「多職種連携・・・

           とても大切だと日々感じています・・・」

№96 失禁の状況から現状の排泄機能の変化とアセスメント    2022年1月18日(火)

 発言内容、行動観察、バイタルサイン、ご家族からの話からアセスメントを進めていますが、先月同様、ADL(日常生活動作=食事、排泄、歩行、入浴etc に少し変化が見られています。

 ADL の変化として、ご自宅での排泄機能に変化が見られていると考えます。奥様から「排尿の失敗がありました。食卓にいたのでパジャマを片付けに行くと、ズボンが濡れていました。本人をトイレに連れて行き確認すると、パンツが濡れていました。だんだん分からなくなってくるのでしょうか?」や「昨日、ウォーキング中、尿意が出て、道の端で放尿して立ったままでしたので、ズボンの前が濡れてしまいました。先日、家でも、トイレでは座ってするんですが、パジャマを着替えようとしたら前が濡れていたんです。」など、排泄の失敗が見られています。

 排泄機能の変化を考察すると、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語、実行機能障害etcにも含まれる注意障害(認知機能)と中核症状である記憶障害が影響していると考えます。

 上記の「ウォーキング中、尿意が出て、道の端で・・・・」との話から、普段から散歩に行く前にトイレに行っているかは不明ですが、トイレに行ったつもりで散歩に出発していることが考えられます。(トイレに行ったと勘違いしている=記憶障害)記憶障害から記憶が曖昧になり、散歩中に尿意を感じ尿意の解消・対応として道端で排尿をしたと考えます。

 また、もう一つの原因と考える注意障害も関係していると考えます。注意障害とは持続的注意、配分的注意、選択的注意、転換的注意など状況によって分類することができます。O様は、散歩に行くことに意識が向き、転換的注意(本来注意を向けなければいけないことに注意が向かいこと=車の運転に注意が向かず会話に注意が向き、運転がおろそかになること)から散歩前のトイレに注意が向けられなかったことが考えられます。

 その他の排泄の失敗も注意障害の影響から尿意に気が付くことが遅れ、焦る中での動作からズボンの前を汚すなどの機能性尿失禁(排泄の失敗)に繋がっていると考えます。現状では、はっきりとした原因は不明ですが、引き続き、ご家族からの話やデイサービスでの行動観察から排泄機能のアセスメントを進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 多くの認知症の方は、デイサービスよりも自宅で状態変化の初期のサインが出ていると感じています。私たちが常に気にかけていることは、ご自宅での言動の変化であり、ご家族の困りごとの変化と考えています。改めて感じることは・・・

 

「ご利用者様とご家族が、

      安心して自宅で生活できることが、

             私たちの力の見せ所と感じています。

№95 行動観察法による認知症の中核薬へのアセスメント視点   2022年1月15日(土)

 メマリー錠増量5㎎⇒10㎎)に伴う行動観察から経過観察を進めています。先月の報告書でも伝えていますが、メマリー錠が増量されたことで”元気になり”、意欲が向上したことで自発性が増し自我が強くなっていることを考察しています。7月もとても元気であり、T様らしさが顕著に見られています。時々、他利用者様に対し強い口調や攻撃的言動が見られる日があり、メマリー錠増量にも伴う影響なども含めアセスメントを進めています。

 720日、特に易怒、暴言などの行動・心理症状が強く見られており、他利用者様に対し「ここじゃなくて・・あっちに座ればいいでしょ!お尻が邪魔だよ!」と足を叩こうとする行動が見られています。ラジオ体操の際も「あっち行けばいいでしょ・・・ここはあたしがいるから」など強い口調が継続して見られています。午後になっても情動は不安定で洗濯たたみをお願いしますが「向こうでさんざんやって来たから…これは家のだから・・やってることができなかったんだよ・・」と拒否が見られています。普段であれば快くたたんでおり、1日を通して情動が不安定となり、拒否、焦燥、易怒、暴言などの行動・心理症状も顕著に見られてます。

 原因を考察すると環境因子の内部環境が影響していると考えています。内部環境とは、身体的不調、心理的苦痛に分けることができますが、T様は夜間の睡眠障害から身体的不調(寝不足)などの違和感から心理的苦痛(焦燥、易怒etcに派生し、時々見られる焦燥、易怒、気分の高揚などの変化に繋がっていると考えています。

 T様はデイサービス利用時、眠る様子はこの7年半1度も見られいません。現在のT様はご家族などの話から睡眠障害は必ず見られていると考えます。しかし、寝る様子や寝不足である様子は全くないため、眠気による不調から普段と違う言動に繋がっていると考えています。ご家族からご自宅での様子を確認し、時々見られる行動・心理症状の真因のアセスメントを進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 薬が変わったとき、何らかの理由で状態が変わったとき、普段との違いを早くアセスメント取ることはとても大切と日々感じています。どのようにしたら普段との違いに気づけるか考え実践していました・・・

「毎回、同じ会話、同じケア、統一されたケア、

                  大切なポイントでした!」

№94 デイサービスへの意識づけの変化へのアプローチとアセスメント  2022年1月12日(水)

 朝の送迎時の様子ですが、利用開始当初より出発までの時間が短くなり、拒否の発言も減少しています。言動の変化を考察していますが、デイサービスに通うことを徐々に認知していることも要因と考えますが、自宅の環境が大きく影響していると考えます。

 送迎のアプローチとして、必ず迎えに行く30分前に自宅に電話を入れています。電話を掛ける理由として、デイサービスに行く認知を付けることや朝の準備をスムーズにすることを目的に実施しています。

 O様の自宅の環境として、電話の前にはカレンダーがかかっており、電話機には日付、曜日、時間が表示され職員との会話で日時を確認できるため有効なRO現実見当識訓練=日時や場所などを伝えること現状の理解に繋げる方法)となり、認知症の中核症状である時間の見当識障害(日時に見当がないこと)や記憶障害(忘れてしまうこと)にアプローチをかけることが可能になっています。 

 しかし、以前は電話をしても拒否的発言が多く、迎えに行っても準備ができておらず出発までに時間がかかっていましたが、ご家族がカレンダーに「リハビリ」と書いたことでO様がデイサービスに通う理由付けに納得できるようになっています。(※個人因子)小さな工夫をしたことで環境が整い、デイサービス出発までの時間が大幅に短くなったと考えています。

 デイサービスをご利用する方の中には、出かける理由が理解できない方が多くいます。その様な状態は、デイサービスで介護をしている方には当たり前に見られる光景だと感じています。朝の送迎時間は時間に限りがりとても困ることも多いかと思います・・・

 

「その方が納得できる個人因子のアセスメントが、

              ヒントになると気がつきました!」

№93 利用回開始当初の支援方法と認知症状のアセスメント     2022年1月9日(日)

 デイサービスでの流れは、フィットケア・〇〇〇さんのスケジュールを基に支援の流れを考えています。認知症の方は、”新しいこと”や”慣れない環境”など普段と違うことへの適応能力が低下する傾向があります。

 同じ流れで行動することは、身体も覚えており違和感なく行動ができ、安心にも繋がります。入浴支援の導入も機能訓練後に実施することで、同じ流れで導入するため強い拒否は見られていません。排泄支援でも「トイレの中で転んだ人がいるので・・・」と、同じ説明をすることで「あー、そういえば言われてた・・・」と思い出し、排泄支援の拒否も軽減すると考えます。

 認知症の方の支援で大切なことは、環境を大きく変えない中で、”安心するために何ができるのか”を考えることが支援のポイントにもなり、認知症の症状の安定にも繋がります。

 認知症状の様子ですが、利用開始から行動観察法(精神機能障害評価スケール=MENFIS)による認知症状の評価を7日間実施しています。

 現状では2回の利用でのアセスメントとなっていますが、S様の主症状は記憶障害(忘れてしまうこと)と考えます。認知症の主症状には、記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語症、実行機能障害(中核症状)があると言われています。利用時の行動観察から記憶障害も軽度と考え、即時記憶(数秒から数分前の記憶)障害、近日記憶(数日前までの記憶)障害が主症状と考えます。また、場面によっては記憶を斑状に覚えており(所々覚えている記憶)、記憶障害の理解を深めることで様々な問題の解決や行動の変化に派生することが可能とも考えています。MENFISの結果が出ましたら結果をご報告致します。

 デイサービスでは、基礎的支援である意欲向上approach methodを徹底することで、早期の信頼関係の構築による支援方法の構築を進めていきます。

 初めてご利用される方は常に緊張し丁寧な導入を進めています・・・慣れない環境で少しでも”不安”や”心配”がないよう環境を整え配慮をするよう心がけています。利用初日が無事に終わった日、とてもホッとしています・・・

   「常に私が同じ立場だったならば・・・」

                                        を考えています・・・

№92 大脳皮質基底核変性症の方の状態変化のアセスメント②    2022年1月6日(木)

 5月の報告書でも伝えていますが、妄想、又は、せん妄を疑う症状が強く見られていましたが、6月に入ると少し変化が見られ6月下旬には少し症状の変化から落ち着いてきています。5月はご家族に対し拒否が強く、水分や食事の拒否、服薬拒否などが顕著に見られていましたが、6月に入りご家族から「今日の朝は水分とご飯は摂れてます。」との説明を受け拒否は減少していると考えます。

 デイサービスでの様子でも、63日は言葉の理解もなく、立位が難しいこともあり安全を第一と考え、入浴支援を中止にしていますが、妄想からの感情失禁など1日を通して状態が不安定となっています。66日、朝の送迎時にご家族から「今日の朝は水分とご飯は摂れてます。」との報告受けています。5月はご家族への拒否が強く水分も摂らない状態でしたが、6日から水分だけでなく食事も摂れるなど状態の急激な変化のサインが見られています。6月中旬になると妄想からの独語や感情失禁なども急激に減少し、入浴支援や排泄支援なども安全が確保され、言葉の理解が見られており良好となっています。

 状態変化の原因を考察していますが、215日から薬の変更(サアミオン錠5㎎減量)などによる物理的環境因子の変化が見られていますが、3月になると妄想、感情失禁などの行動・心理症状が派生し状態の変化が急激に見られています。その他の環境因子(外部環境=物質的環境・人的ストレス 内部環境=身体的不調・心理的苦痛)の変化はなかったと考え、はっきりとした原因は不明ですが、薬の変化による影響が少なからずあったと考えています。今後、薬の調整や変更には十分な注意が必要と考え、ご家族、ケアマネージャーと連絡を密にしていきたいと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 私たちが関わっているご利用者様の中で認知症の原因として少ない疾患であり、どのような症状であるかなども経験が少なくとても勉強になった方でした。また、その方は誰にでもとても優しく、正義感も強い方で私たちが元気を頂いていたように感じています。

「日々の出来事の積み重ねで

            今が作られていることを学びました!」

№91 自宅での言動の変化から家族の不思議へのアセスメント視点  2022年1月3日(月)

 認知症状の様子ですが、以前と比較して現状の理解力など物事を理解することが苦手になっていると考えます。

 ご自宅でのエピソードをご家族から聞いていますが「お散歩の途中で前は体操していたんですが、やりたがらないです。家の階段も上りたがらないです。まあ本人の部屋は一階なんでいいんですが・・・。足はどこが痛いか言えないんですが、いつもと同じように、時々、痛いって言いますね。・・・」などの様子を聞いています。

 認知症には様々な症状がありますが、主症状(中核症状)として記憶障害、見当識障害、失認、失行、失語症、実行機能障害が上げられます。ご家族から聞いているエピソードは中核症状の影響から「なぜここで体操をやるの?」と理解ができていません。

 私たちは、習慣や経験上ウォーキングをする際、体操などをすることに違和感はありません。しかし、S様は認知症の中核症状から、ウォーキングをしていることを忘れていること(記憶障害)又は、理解できてない(失語症)ことから体操をすることに思考が至らないことも考えられます。「家の階段も上がりたがらない」などの言動も、認知症の中核症状から”理解ができない”、”どこに行くのか分からないから上がりたくない”、”疲れるから嫌”などから拒否に繋がっていると考えます。

 拒否をする真因は、「嫌な気持ち」など人間の欲求階層との関係性が高いと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 新しい年がスタートしました!今年の目標は内容のアップデートを目標に掲げ、続けることから次のステップに繋がると信じ頑張って参ります。

 自分自身の振り返り、成長できるよう今年一年・・・

           「宜しくお願い致します!」

№90 自宅での転倒後の状態把握のアセスメント視点       2021年12月30日(木)

 5月中旬、自宅にて転倒をしたことで心理的変化なども見られ経過観察を進めています。6月の利用時の様子ですが、転倒により身体的不安が強く健康な身体(動ける、元気etc)を喪失する喪失体験を受け、心理的苦痛(不安、恐怖、恐れ、etc)などの影響から意欲の低下に繋がっていると考えます。

 ご家族の話では「買い物(ヤ〇マ〇)に行かなくなった」と聞いており、「転んでケガをしてしまったら困る」、「シルバーカーで歩くのが怖い」などの心理から自宅での行動に変化が見られていると考えます。デイサービスでは行動の大きな変化は見られていませんが、「気持ちが不安定で、声が出なくて・・・。」や「この前はたくさん垢が出たのに今日は全然でない。やっぱり病気があると出ないんだね。」など悲観的な発言は聞かれており注意が必要と考えます。

 現状では、観察ポイントである食事量は安定し、おやつも全量摂取している日も多く、入浴への拒否もないことから状態は安定又は、緩やかに向上していると考えています。

 デイサービスでは、行動観察、バイタルサインなどから状態変化の早期発見を進めると共に、”こころが元気になる支援”として意欲向上approach methodを進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 今年最後のブログとなります。今年の四月から唐突にブログを始めましたが、3日に1度の更新を目標に続けて参りました。不備などもあり様々な方々にご教示をして頂くこともあり、見て頂いている方に感謝しております。新年度も続けることを第一の目標にする中で、内容のアップデートも頑張って参ります。

        今年一年、多くの方のお世話になり感謝の気持ちでいっぱいです。

             「ありがとうございました。」

№89 暴言などの行動・心理症状の強い方の薬物療法のアセスメント 2021年12月27日(月)

デイサービス利用状況報告書

     ( 主訴= バルプロ酸ナトリウム錠増量「夕食後」経過観察 

令和〇年〇月〇

S・S   様

 〇〇先生、大変お世話になっております。認知症対応型デイサービス、ほうとくの相談員をしている鳥海忠明と申します。S様のデイサービスでのアセスメントが参考になればと考え、ご報告させて頂きます。書面でのご報告となり大変失礼致します。

MENFIS 評価 】

〇月〇日からバルプロ酸ナトリウム錠追加(夕食後)伴う認知症状の状態をアセスメントする為、行動観察法(精神障害評価スケール=MENFIS)を7日間実施しており結果をご報告致します。バルプロ酸ナトリウム錠開始時(5月)のデータと比較して報告致します。

MENFISの目的として、利用開始時、薬の変更時、状態の変化など認知症状の変化を客観的データ

 を基にアセスメントし、早期の支援方法の構築に繋げております。

※棒グラフが長いと障害は重くなります。

①認知機能障害・・・・・ 記憶障害、見当識障害、失語症に変化が出ている評価となっ

             ております。

②動機づけ機能障害・・・ 大きな変化は見られておりません。

③感情機能障害・・・・・ 大きな変化は見られておりません。

 MENFISの評価として、バルプロ酸ナトリウム錠増量に伴い動機付け機能障害、感情機能障害での大きな変化は見られていない評価となっております。しかし、認知機能障害の記憶障害、見当識障害、失語症などには障害の悪化が見られており、バルプロ酸ナトリウム錠増量の影響が考えられる評価となっております。

【 現状報告 】

 〇日の受診後からバルプロ酸ナトリウム錠が夕食後に増量され、行動観察によるアセスメントを進めておりますが、利用時の状態に変化が見られております。

 変化として、利用日によって情動の動揺が減少し、焦燥、易怒、暴言などの行動・心理症状が減少しています。

 情動が安定している真因として、夕食後のバルプロ酸ナトリウム錠の増量から睡眠の質が向上し、睡眠障害による日中の眠気の動揺が少なくなったことで情動が安定し、行動・心理症状が減少したと考えます。

 MENFIの評価では、認知機能障害の悪化が見られており、認知機能の低下も行動・心理症状の減少の要因の一つであると考えます。感情機能障害に変化が出ていない評価となっておりますが、MENFISには反映されないほどの変化となっておりますが、デイサービスでの強い行動・心理症状は稀に見られる程度となっております。

【 まとめ 】

 デイサービスでの強い行動・心理症状は稀に見られる程度となっておりますが、環境などの刺激から時に抑制ができず行動・心理症状に派生することも見られ、頓服薬での一時的な対応が可能であれば、ショートステイなどの新しいサービスが利用可能になると考えております。

「鳥さん」からの一言・・・

 大声、暴言などが酷く、他のサービス利用が難しくなり私たちのサービスを利用しています。根はとても優しく、母親の話をすると涙ぐむ方ですが、周囲の環境の刺激が入ると手が付けられないほどの暴言などに繋がっています・・・しかし、他の人と一緒に居ることが大好きな方なので・・・

     「薬の調整を医療機関にどのように伝えるか、

                  私たちの課題です・・・」

№88 レビー小体型認知症の失語症状のアセスメント       2021年12月24日(金)

 613日、記憶を想起するトレーニングを実施していますが、記憶障害の影響による回答が見られています。トレーニング内容として、野菜の名前を想起するテストとなっていますが、始める前に「野菜」とお伝えするも、「みかん」「なし」と書いています。再度、「野菜」である事をお伝えすると、「いも」と書いていますが、その後はご自分から名前を思い出すこともなく、他利用者様が発した言葉を書いたり、見たりする姿が見られています。

 失語症状も疑っていますが、”言葉を話す障害はなく”、”言葉を理解する障害”も学習療法時のコミュニケーションなどから障害はないと考えます。字を書く障害も「みかん」、「なし」、「いも」、「たまねぎ」、「きゅうり」など障害はなく、他利用者様の回答を見て書くなどからも”字を読む障害”も見られていないと考え、失語症が原因ではないと考えます。以前の報告書でも伝えている、記憶を想起(思い出す=脳から引き出す)することが影響していると考察しています。

 野菜の名前を想起することは、陳述記憶である意味記憶を活用する療法となっています。意味記憶とは常識や経験、学校で学んだことなど知識や意味に関する記憶を表しています。野菜の名前は、意味記憶の中でもとても古い知識(記憶=昔に知った常識)であり、古い記憶は大脳皮質に保存されるため”忘れずらい記憶”とも言えます。

 認知症の方は長期記憶(古い記憶=大脳皮質に保存されている記憶)は比較的保持される傾向があり、意味記憶も同じ傾向があります。O様の記憶の特徴として、記憶を想起(思い出す=脳から引き出す)する特徴が強いと考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方の支援の中で、失語症状の支援(失語症approach method)やアセスメントがとても難しいと感じています。私たちは、考えることなく言葉でのコミュニケーションをおこなっており、失語症状を意識することを忘れ関わっていることが多いと感じています・・・

     「慣れや習慣、時に邪魔であると感じています!」

№87  パーキンソンニズムが強いご利用者様の退院後のアセスメント  2021年12月21日(火)

 歩行の様子ですが、退院後から手引き歩行で移動をしていますが、退院直後より歩行は安定しており、膝折れなどからの転倒のリスクは少なくなっています。

 ご自宅での様子をご家族に確認するとソファーからの立ち上がり、歩き始めに膝折れが見られているようです。旦那様からも「足はだいぶダメだね・・・歩き出すと膝が折れて・・・」と聞いています。

 S様の疾患(パーキンソン・シンドローム)は、神経伝達物質であるドパミンとの関係が強い疾患と考えています。ドパミンは、”身体の動き出し”や”やる気を起こす”(やる気スイッチ)働きがあるため、動き出しの際の身体の動きは緩慢(ゆっくり、鈍く)になると考えます。移動の際のポイントとして、S様の動きにわせ、無理なく支援することが残存機能の活用だけでなく安全の確保にも繋がると考えます。

 自宅での夜間の排泄支援のアセスメントですが、デイサービス利用後は水分摂取量が多く夜間の排尿が多く、旦那様の介護負担が増加しています。旦那様からも「1時半くらいに寝るから寝不足で・・・」との発言も聞かれています。旦那様の睡眠を確保すると共に、介護負担が軽減できるよう失禁への対策を実施しています。

 実施内容として、現状の対応(パット+紙パンツ)の上にLサイズの紙パンツを履く事で、体動時の横漏れやパットに吸収しきれないオーバーフローした尿を吸収できるよう実施しています。以前はMサイズの紙パンツを重ねて履いていましたが横漏れがあったことでLサイズに変更しています。Lサイズに変更したことで、漏れることなくLサイズの紙パンツが3日前後使用することができています。紙おむつなども検討しましたが、介護方法の変更が旦那様の負担に繋がると考え、一番シンプルな方法でアセスメントを進めていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方は、脳の疾患により様々な症状が見られています。私たち現場の介護従事者も疾患の理解できる知識が必要と感じています。また、疾患であれば一般的には薬の服用も必要と考えます。私たち介護従事者も必要な知識と感じています。

       「知識があることで多くの気づきに繋がっています!」

                                        学びは大切です・・・

№86 大脳皮質基底核変性症の方の精神症状のアセスメント    2021年12月18日(土)

 3月くらいから妄想などから独語が増加するなど行動・心理症状に変化が出ていますが、食事支援にも変化が出てきています。

 食事支援の変化として、食事量の減少、食事時間の増加などが変化として見られています。変化の原因を考察すると、妄想などの行動・心理症状の変化から認知症の中核症状の変化の影響が強いと考えています。

 行動・心理症状の派生プロセスは、認知症の”中核症状”や”環境因子”の影響から個人因子によって派生するプロセスとなっています。中核症状の変化と行動・心理症状の変化は密接なバランス関係があると考えられ、食事支援などのADLは中核症状によって大きく変化していきます。

 食事支援の変化は、認知症の中核症状の失行、注意障害などの影響が強いと考えています。O様は、食事は認識できていますが、掴んだ食事を口元に運ぶことができないなど、失行の症状が強く食事の時間が長くなることに繋がっています。食事の時間が長くなることで、疲労感などから食事への集中力(注意障害=持続的注意)が減退していると考えます。

 中核症状は、様々な原因によって変化しますが、現在の状態に薬があっていないなども考え、受診時に先生に相談することも必要と考えています。デイサービスでは、PLAメソッドから認知症状のアセスメントを進め、変化の早期発見、対応を進めていきます。

 5月下旬、妄想、又はせん妄の疑いによる行動・心理症状の変化からご自宅での拒否が強く見られていると考えます。朝の送迎時、旦那様から「昨日から全然飲み物を飲まなくて・・・」との話を聞いています。O様の口元には白い粉が口角についており、服薬にも強い拒否が見られていると考えます。

 デイサービスでは、強い拒否には派生していませんが、妄想、又はせん妄の疑いから声をかけても全く反応がないことも見られており、入浴支援や排泄支援では転倒などのリスクが高くなっていると考えます。5月上旬にS病院に受診をしており先生に相談していますが、現状ではお薬の調整などは難しいとの説明を受けたようです。デイサービスでは、安全を確保することを最優先に支援すると共に、状態に合わせた支援の修正も図っていきます。

「鳥さん」からの一言・・・

 初めての疾患の方の利用で、多くのことを体験を通して学ばせて頂きました。その際、精神症状のアセスメント視点、対応方法などアルツハイマー型認知症やその他の疾患による認知症の方とは違うことも気づかされました・・・繰り返しですが・・・

  「体験を繰り返し、気づく!身に付く!

                                            大切ですね!

№85 認知症状のアセスメントから外に出たい欲求の強さの評価  2021年12月15日(水)

 5月はとても元気があり、やや多弁傾向な日が多く見られています。以前から発語は多く聞かれていましたが、5月は笑顔も多く、発語量がとても増えていたと考えます。発話量が増えた事と比例して、室内を歩くこと(徘徊)も増えており、一人で外に出てしまうリスクも高くなっています。デイサービスだけでなく、自宅でも一人で出ていってしまうリスクは高いと考え、外出予防のアセスメントを進めています。

 T様が玄関に行った際、どのような行動を取るかアセスメントしていますが、玄関に置いてある職員用のサンダルを使い外に出ようとしています。サンダルをしまってのアセスメントでは、靴を探す行動は見られますが、暫くすると裸足のまま外に出ようとしています。裸足のまま出ていくことは、認知機能の判断力の低下も顕著となり、外に出たい欲求が強い事が考察できます。

 一人で外に出るリスクは高いと考え、デイサービスでの見守りを強化するだけでなく、自宅での外出にも注意が必要と考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 自宅で外に行きたくなるご利用者様は多く見られています。普通のことですが、ご家族は目が離せないと負担感などを強く感じています。その際、認知機能でどこまで判断できるかのアセメントによって玄関の環境は変わってきます・・・

 「行動観察から認知機能の判断がしやすくなります!」

№84 些細な環境因子の影響による状態変化のアセスメント    2021年12月12日(日)

 4月に入り食事量の維持など状態の改善が見られていましたが、5月に入り「ごめんね、あんた。何だか食べられなくって・・・」や「何だか・・・あんまりお腹が空かないね・・・」など、再び食事意欲の減退が見られています。

 食事意欲の減退と比例して、認知機能の動揺の影響から「ちょっと!ここはさ、シングルマザーのための所でしょ?そういう意味でここを始めたのに、何で最近男ばっかり増えるの?おかしくない?だって男は退職金やら手当やらをもらっていい思いをしているんだから。だいたい病院の売店の売り上げを資金にして、ここの運営にあてているんだから、男がのこのこやってきてタダで食べるのはおかしいよ!」など、記憶が逆行し曖昧になる発言(記憶の逆行性喪失=新しい記憶が消失し古い記憶が鮮明になること)も増加しています。自宅でも記憶障害を想起するエピソードがご家族より聞かれており、認知症状の変化も見られていると考えています。

 食事意欲の減退、認知症状の変化などの原因を考察していますが、環境因子の影響が大きいと考えています。ゴールデンウィークに入り、自宅から通うことが多くなり日常生活での刺激が減少していると考えています。ゴールデンウィーク明け、娘様宅から利用となった日は活気が見られ、発言内容などから良い状態であったと考えています。認知症状の変化は、環境因子の影響だけでないと考えますが、日常生活の刺激がとても大切である気づきに繋がっています。

「鳥さん」からの一言・・・

 デイサービスに通っているご利用者様は、自宅で過ごす時間が長く、自宅での様々な影響を受け、小さなサインに繋がっているとことを日々感じています。変化を原因をどのように見つけ出すかを試行錯誤しています・・・そのヒントが!

  「今までと同じ対応、今までとの生活の違い」

                                       本当に小さな違いです!

№83 認知症状の評価も含めた腰痛のアセスメント視点      2021年12月9日(木)

 5月の利用時のアセスメントとして、腰痛の訴えが聞かれています。身体を前傾にしながら腰周辺を叩きながら「腰が痛いんだ。何したかは分からない。温めるの?いい、いい。そういうのやった事ないからいいよ」などの言動が見られています。ご家族に腰痛の事を聞くと以前から時々あったようで、慢性的な腰痛と考えますが、違う視点でのアセスメントも進めていきます。

 違う視点とは、活動量が低下することで筋力も低下し、慢性的に腰痛が悪化していまう視点です。

 O様は、以前に比べ外出する機会は減少し、自宅で過ごす時間が増加していると考えます。利用時に最近のエピソード記憶をコミュニケーションからアセスメントしていますが、昔の外出したエピソードは繰り返し聞かれますが、最近外出したエピソードは殆ど聞かれません。

 O様の記憶障害から考察すると、最近のエピソード記憶は残っていると考え、現在はあまり外出していないことが考えられます。自宅で過ごす時間が増加することで、テレビを観るなど身体を使わない時間が増え、横になる時間も増えると考えます。腰への負担度比率などから、仰向けで寝ることで腰への負担は直立時の1/4%、横に向きでなると直立時の3/4%まで減少し、様々な筋力が低下し腰痛の悪化に繋がると考えています。

 O様の自宅での行動観察なども含めアセスメントをすることで、腰痛の状況から現状の認知機能の状態や環境因子の状態が把握できると考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方と長く関わる中で、認知症状のアセスメントから日々の行動パターンや言動の変化など、客観的情報と主観的情報から相対的未来も少し分かるようになりました。相対的未来が少し見えることで、予防や対応が少ししやすくなった気がします・・・

   「繰り返しおこなうこと、大切ですね!」

                      見え方が変わってきます・・・

№82 風邪症状から派生した状態変化のアセスメント       2021年12月6日(月)

 5月上旬、O様は風邪症状が見られており、食事意欲の減退、午前の眠気増加(睡眠障害=入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)、歩行が不安定になるなどの症状が見られています。

 普段のO様は高齢ですがとても元気であり、風邪により一時的な状態変化と考察していましたが、午後になると元気になるなど、行動への違和感も見られています。

 家族に風邪薬の服用の有無を確認すると、朝に市販薬を服用しており薬の影響も状態変化に影響していたと考えます。午後になると元気になることは、朝に服用した薬の効果が切れたことによる変化と考察しています。

 5月中旬には、食事意欲も回復し、眠気も軽減され状態の回復が見られていますが、O様は高齢であることも影響し、薬物への過敏性が見られており特に注意が必要と考えています。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方だけでなく、高齢になると、私たちには影響のない些細なことでも、状態変化に繋がることが見られています。ご家族からすると「そんなことで!」と驚かれるご家族も多く見られています。

「身体的にも、心理的にも

            余裕がなくなっているのです・・・」

№81 常同行動などの特徴的な行動のある方のアセスメントと考察 2021年12月3日(金)

 ご家族より「昨日早く起きていつも通り一緒に散歩もして8時くらいには全部すんでしまって、ベッドに入って休んでいると思って、私が畑仕事していたら人が入ってきたから誰かと思ったら主人で・・・一人でぐるっと周って散歩してきたみたいで・・戻って来れたからよかったです。孫も来ていて「おじいちゃん」と声をかけたんですが、全然反応されなくて・・・」と話を聞いています。ご家族は”1人で自宅に帰ることができるのか?”との心配があると考えます。

 Y様の現在の認知症状のアセスメントから考察すると、自宅に帰れなくなる原因は、認知症の中核症状である記憶障害によって、自宅の場所の見当が付かなくなること(場所の見当識障害)で自宅に帰れなくなります。行動観察からY様は、新しいご利用者様の自宅までの道順を覚えており、ご自身の自宅周辺の道順もしっかり覚えているため、現状では自宅に帰れなくなるリスクは少ないと考えます。しかし、何かのきっかけで普段の散歩ではなく、出かけてしまうことで帰れなくなるリスクはあると考えます。常日頃より、「散歩以外は1人で出かけないでね」と伝えることで行動の抑制を図り、散歩以外の外出に派生しない環境を整えることは事故(自宅に帰れない)の予防に繋がり大切なことと考えています。

 自宅での言動の”なぜ?”の考察ですが、【食事を一度食べた後、もう一度、席に着き食事の訴えが聞かれる”なぜ?”】ですが、勘違い、又は、記憶障害による言動と考察しています。

 ご家族の対応として、現在のY様の情動(一瞬の感情の動き)は安定しており怒ることや手を上げることは無いと考えます。奥様との関係性も良好で一番信頼していると考えています。そのような関係性での対応として、1度は「さっき食べたわよ。」と現実を伝えることは良いと考えます。現実を伝える対応は、現実見当識訓練(RO=リアリティ・オリエンテーション)であり、認知症の方などへのコミュニケーションの方法の一つとして有効です。

 しかし、現状を伝えることで怒ってしまう人などには合わないこともありますが、現状のY様の情動は安定しており1度のROは良いと考えます。1度のROで納得すれば良いですが、納得できない時は繰り返しのROは情動を不安定にするため、対応を受容に切り替えます。

 対応として「ご飯が食べたいのね?」と伝え、少量の食べ物(果物、残り物、ごはんetc)や飲み物(お茶、甘い飲み物etc)などで食べたい欲求を少し満たすことで訴えが消失します。注意するポイントとして、忘れてしまったことによる行動は記憶障害の影響が強いと考え、今回のようなエピソードの頻度が増すことには注意が必要と考えています。上記でも報告していますが記憶障害の変化は、自宅に帰れなくなるリスクと密接な関係があると考察しています。

「鳥さん」からの一言・・・

 認知症の方のご家族は、常に不安と心配、そして「なぜ?」と葛藤していると感じています。私たち専門職も全てを知ることは難しいですが、今までの”経験”と”知識”で

「少し先の相対的未来を

       予測することが可能と感じています!」

令和6年10月2日         空き情報

< ぱ-そんらいふ    ほうとく>  定員  10名

曜 日
空き人数 2 2 1 0 0 2

 

< ほうとく 弐番館 >  定員 10名

曜 日
空き人数 1 0 1 0 0 2 2

 

<ぱ-そんらいふ久野>      定員 10名

曜 日
空き人数 1 3 1 2 3 1

 

<ぱ-そんらいふ南鴨宮> 定員 10名

曜 日
空き人数 2 1 3 0 5 2